国税庁から『令和元年度租税滞納状況について』と『「納税の猶予制度の特例」の適用状況(令和2年4~6月分)』が公表されました

2020年9月2日

おはようございます。まだまだ蒸し暑い日が続きますがいかがお過ごしですか。横浜戸塚のあおぞら会計事務所の税理士Kです。

令和2年8月7日、国税庁より『令和元年度租税滞納状況について』と『「納税の猶予制度の特例」の適用状況(令和2年4~6月分)』という資料が公表されました。

昨今のコロナ禍における申告の状況から世間の資金繰りの状況か想像できるかと思いますので、今日はこの資料を取り上げてみたいと思います。

『令和元年度租税滞納状況について』の概要

まず、国税庁が公表した租税滞納状況の概要は以下の通りです。詳細につきましてはリンクをご確認ください。

https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0020007-131a.pdf

金額前期比ポイント
年度末における滞納残高7,554 億円平成 30 年度(8,118 億円)より 564 億円(6.9%)減少滞納整理中のものの額は減少し、ピーク時(平成 10 年度、2兆 8,149 億円)の 26.8%になりました。
新規発生滞納額5,528 億円平成 30 年度(6,143 億円)より 615 億円(10.0%)減少新規発生滞納額は、前年に比べ減少(90.0%)し、ピーク時(平成4年度、1兆8,903 億円)の約3割(29.2%)になりました。滞納発生割合は、0.9%であり、引き続き、低水準となっています。
整理済額6,091 億円平成 30 年度(6,555 億円)より 464 億円(7.1%)減少整理済額(6,091 億円)は、新規発生滞納額(5,528 億円)を 564 億円上回りました。

(注1)滞納とは、国税が納期限までに納付されず、督促状が発付されたものをいいます。
(注2)新たに施行された「納税の猶予制度」の適用を受けた国税は、滞納に含まれません。

令和元年度末における滞納残高がピーク時である平成 10 年度の 26.8%と非常に低い数値になっているとされます。

『「納税の猶予制度の特例」の適用状況(令和2年4~6月分)』の概要

次に『「納税の猶予制度の特例」の適用状況(令和2年4~6月分)』についてみていきたいと思います。

https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0020007-131b.pdf

特例猶予の税額(令和2年4~6月分):2,617億円(95,903件)

ちなみに、令和2年4・5月分も公表されていてその税額は以下の通りです。

特例猶予の税額(令和2年4・5月分):450億円(26,385件)

4~6月と4~5月で桁が1つ違い、6月だけで2,000億円以上増加していることが分かります。

また、令和元年度末(令和2年3月末日)における滞納残高は7,554 億円ですから、実にこれの34.6%という大きな税額が新たに納税猶予の適用を受けたことになります。

まとめ

納税猶予の適用税額・件数の大きさから4~6月においてコロナウイルスの影響が非常に大きかったことが分かります。また、資金繰りの厳しい場合は、「納税の猶予制度の特例」以外にも「コロナウイルス感染症のよる申告納付期限の延長」の適用を受けていることも考えれます。そう考えると、納税を先送りしている件数はもっと多いのかもしれません。このような納税の状況から考えると、念のため資金流出をしないために納税猶予を申請した場合なども考えれますが、資金の流れが経済全体としてかなり滞っていたことが想像できます。

中小企業の経営者の方にとっては今後の状況については判断が難しいと思いますが、資金繰りのご計画など、慎重に再検討する必要があるのではないでしょうか。

話はそれますが、あの大変だった4~6月のコロナ禍の中、9,500件を超える納税猶予の手続きをさばいた税務署の職員の皆様には頭が下がる思いです。(6月単月では6,900件!1日230件です!!)