源泉所得税のダイレクト納付を行う場合の流れ

2021年6月11日

 突然ですが、皆さんはダイレクト納付をご存知ですか。会計事務所勤務や経理担当のかたで聞いたことはあるという人は多いかもしれんませんが、実際に行っている人はどれぐらいいらっしゃるのでしょうか。「令和元年8月21日税制調査会専門家会合資料」によれば、2018年の電子納税の割合は8.9%となっています。ただ、最近では新型コロナ対策として、対面での処理を避けたいということでダイレクト納付を検討しているかたも多いのではないでしょうか。特に、源泉所得税の納付が毎月納付の納税者にとっては、ダイレクト納付を行うことによって毎月銀行に行く必要がなくなり業務の省力化にもつながります。

 そこで今回は、源泉所得税を例に、ダイレクト納付の大まかな概要について解説したいと思います。(税理士が関与している法人を前提に、利用者識別番号等は事前に取得しているものとしてご説明します。)

ダイレクト納付とは

 まず、内容についてですが、「ダイレクト納付」とは、e-Taxにより申告書等を提出した後、納税者の預貯金口座から即時に口座引落しにより国税を電子納付する手続のことをいいます。詳しくは以下の国税庁のHPをご確認ください。

https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/index.htm

準備するもの

次に、ダイレクト納付を行う際に事前に準備するものですが、以下の3点となります。

①利用者識別番号とPW
②インターネットにつながるPC等
③納税用確認番号とメールアドレス

 納税用確認番号とメールアドレスが分からなくなっている場合がありますが、e-Taxソフトにて再設定が可能です。また、メールアドレスとして税理士のものを設定している場合がありますが、クライアント様のものも追加して設定したほうがいいでしょう。

利用開始から初めての納税までの流れ

利用開始から納税までの大まかな手続きの流れは以下の①→⑤となります。

①『ダイレクト納付利用届出書』の届出
 ダイレクト納付する金融機関口座と届出印が必要です。(個人はe-Taxで提出できますが法人の場合は書面提出となります。)


②『ダイレクト納付利用可能のお知らせ』の確認
 ①の提出後、1か月前後でe-Taxのメッセージボックスに格納されます。

③e-Taxソフトの準備と設定
 e-Taxソフトで納付書の送信と納税の手続きを行うことになりますので設定を行います。利用者識別番号とPWでログインして所定の設定を行います。

 なお、e-Taxソフト(WEB版)のリンクは以下となります。

https://www.e-tax.nta.go.jp/e-taxsoftweb/e-taxsoftweb1.htm

④納付書(徴収高計算書)の作成と送信

⑤納付

 ③~⑤はe-Taxソフト上での操作となります。詳しい操作については次の操作方法のPDFをご確認ください。

 ⑤の納付は④の送信結果のメール詳細から直接手続きをすることができます。メール詳細に記載されたダイレクト納付の指示ボタンをクリックするだけとなっています。一度設定をしてしまえば、納付の都度納税額などを入力する必要がないのでとても楽かと思います。

e-Taxソフト操作方法

 以下が操作のマニュアルとなります。詳しく解説されているのでご参照ください。

https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/pdf/24100030_direct_manual.pdf

注意点

 ダイレクト納付を利用する場合、確定申告用の納付書が送付されてこなくなります。

まとめ

 いかがでしょうか。設定が難しいという印象がありましたが意外に簡単にできそうかと思います。一度設定をしておけば次回から細かい入力が不要というのも楽かと思います。源泉所得税の毎月納付を行っている場合に、毎月金融機関に行かなくてもよくなるのはとても大きいですね。

 また、税理士が納付書等の代理送信を行って納付の手続きまでを行う、いわゆる税理士による「代理ダイレクト納付」も可能となっています。源泉所得税の納期の特例を適用して半年に一回の納付となっている場合でも、税理士が「代理ダイレクト納付」の手続きまで行えばクライアント様が金融機関に行く必要がなくなり省力化にもつながるので、クライアント様のご了解が得られれば行ってもいいかもしれません。