新型コロナウイルス感染症拡大に伴う固定資産税等の税制措置について

2020年9月18日

こんにちは。しばらく間があいてしまい失礼しました。だいぶ涼しくなってきましたね。横浜戸塚のあおぞら会計事務所の税理士Kです。

9月3日、中小企業庁から公表されていた「固定資産税等の軽減措置に関するQ&A集」が更新されました。

今回は、この新型コロナウイルス感染症拡大に伴う固定資産税の減免特例についてまとめたいと思います。

この記事をまとめるのにあたって、9月16日に更新された横浜市のホームページを参照しています。

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/zeikin/shizei/koteishisan/koteishuunyuugen.html

効 果

1.概要

売上高が減少した中小事業者等が所有する「事業用家屋」及び「償却資産」について、令和3年度分の固定資産税又は都市計画税の課税標準額を、売上高の減少率に応じて、以下の通り特例措置を受けることができる制度です。

R2年2月~10月までの任意の3か月間の売上減少率(前年同期比)固定資産税等の減免率
50%以上全額免除
30%以上50%未満2分の1

2.留意点

・土地に係る固定資産税等は対象外とされます。(Q31)

・居住用家屋と一体になっている事業用の事務所も対象とされます。この場合、事業専用割合に対応する部分が軽減の対象となります。(Q27)

要 件

1.対象者

上記概要の表に該当する「中小企業者」(※1)(租税特別措置法に規定する中小事業者又は中小企業者)であること。

(ただし、風俗営業法に規定する「性風俗関連特殊営業」を営む者は対象者から除かれています。)

(※1):「中小事業者等」とは

  • 会社及び資本又は出資を有する法人の場合:賦課期日(1月1日)現在において、資本金又は出資の総額は1億円以下
  • 資本又は出資を有しない法人や個人の場合:賦課期日(1月1日)現在において、従業員数は1,000人以下
  • みなし大企業(※2)に該当しない

(※2):「みなし大企業」とは、以下のいずれかの法人をいいます。

  • 同一の大規模法人(資本金1億円を超える法人等)に発行済株式又は出資の総数または総額の2分の1以上を所有されている法人
  • 2以上の大規模法人(資本金1億円を超える法人等)に発行済株式又は出資の総数または総額の3分の2以上を所有されている法人

2.留意点

・医療法人、社会福祉法人等も対象とされます。(Q18)

・フリーランサーを含む個人事業主も対象とされます。(Q19)

・新規開業等により前年同期の売上高が存在しない場合は対象外とされます。(Q21)

・個人事業主を含め不動産賃貸業も対象とされます。(Q37・49) ただし新型コロナウイルス感染症の影響により賃料の支払いを猶予している場合には一定の書面の提出などが必要となります。

・不動産賃貸事業者が賃貸物件を売却して得た売却収入は、判定上の売上高に含まれません。(Q52)

・複数店舗や複数事業を営んでいる場合、店舗ごと・事業ごとで売上判定をすることはできず、全店舗・全事業を合算した売上げで判定します。(Q38・39)

手続き

1.手順

  • 「特例申告書」様式に必要事項を記入し、必要書類を添えて、「認定経営革新等支援機関等」に本特例措置の適用要件を満たしていることの確認を依頼
  • 同機関での確認後、特例申告書裏面の【認定経営革新等支援機関等確認欄】に記入・押印され、返却される
  • 返却された「特例申告書」等及び必要書類一式を市区町村に提出

2.認定経営革新等支援機関等の確認事項

  • 中小事業者等であることの確認
  • 事業収入の減少の確認
  • 特例対象家屋の居住用・事業用割合の確認

なお、認定経営革新等支援機関等には、確認の際、以下の書類をあわせて提出します。

  • 収入減を示す書類(会計帳簿、青色申告決算書、収支内訳表の写し等)
  • 事業専用割合を示す書類(青色申告決算書、収支内訳表の写し等) ※家屋がある場合

認定支援機関の確認後、特例対象資産に変更が生じた場合には、再度確認を受ける必要があります。(Q16)

3.提出期限

令和3年2月1日(月曜日)まで

まとめ

Q&A集のQ5によれば、申告受付はR3年1月から開始され、通常の償却資産税の申告と同じタイミングで行う予定となっています。横浜市に確認したところ、やはり特例申告書は通常の償却資産税の申告書と同時に提出してほしいとのことでした。提出を忘れないように特例申告書を先行して提出して、通常の償却資産税の申告書は準備ができ次第提出するというオペレーションは認められないようです。特例申告書を提出する手続きは、建物を含め来年の1月以降となりそうです。

また、特例申告書は紙での作成となるので、eltaxで償却資産税の申告をする場合には、PDFで添付をするか、別途郵送で特例申告書を提出して、備考欄にその旨を記載するという流れになるようでした。

いずれにしてもまだ確定の手続きではないと思いますので、提出する際は確認をしながら進めたいと思います。