従業員が負担した感染予防対策費用の取り扱い

2021年6月18日

5月31日、国税庁公表の新型コロナFAQ・在宅勤務FAQが更新されました。
従業員が負担した感染予防対策費用の課税関係について4問が追加されています。
新型コロナ対策費用やテレワークのための費用を従業員が立替払いした場合の取り扱いについて、判断に迷われることも多いのではないでしょうか。今回はこのFAQについて簡単にまとめたいと思います。

内 容

所得税法上、給与・賞与といった金銭の支給以外でも従業員等に対して行う経済的利益の供与は、原則として給与課税が行われます。
今回公表されたFAQでは、従業員がコロナ対策としてマスクを購入した場合やテレワークのための備品購入した場合に、その費用を法人が支給したときに給与課税される経済的利益に該当するか否かの判断が示されまています。

立替払いした費用の内容法人経費(給与課税されない経済的利益)給与課税(経済的利益)
テレワークのための備品購入費業務のために通常必要なもので所有権が法人にあるもの(従業員に貸与)所有権が従業員にあるもの
マスクや消毒液の購入費在宅勤務時に通常必要なもの(企業が直接支給する場合を含む)勤務とは関係なく使用するもの・従業員以外の者(家族など)を対象とするもの
感染が疑われる場合のホテル利用料業務のために通常必要なもの(業務命令によるものなど)従業員の自己判断によるもの
PCR検査費用・室内消毒委託費用業務のために通常必要なもの(業務命令によるものなど)従業員の自己判断によるもの

法人経費となるものでも実費精算(又は法人からの支給・貸与)が原則であり、予め金銭を支給して返還義務のないものは給与課税となりますのでご注意ください。

まとめ

所得税では、経済的利益の供与は原則給与課税という考え方があります。給与課税から除かれるのは一定の要件を満たす必要があり、法人の「業務にとって通常必要」か否かがポイントとなります。この要件を充足していることを客観的に説明できるように会社の資料(旅費規程など)を整備することをお勧めします。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf