テレワーク等のための中小企業の設備投資税制
おはようございます。朝晩は少しずつ涼しくなってきましたね。横浜戸塚のあおぞら会計事務所の税理士Kです。
今日は、コロナ対策としてテレワーク等を推進するために追加された中小企業経営強化税のC類型(デジタル化設備)についてまとめたいと思います。
C類型(デジタル化設備)は、業務のデジタル化(テレワーク等)を促進するために、遠隔操作・可視化・自動制御化のいずれかを可能にする設備をいいます。国税庁と中小企業庁のHPを参照してますのでリンクをはっておきます。
国税庁HP:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5434.htm
中小企業庁HP:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2020/200501kyoka.html
中小企業経営強化税制の内容
まず、おおもとの中小企業経営強化税制について確認します。
1 制度の概要
中小企業経営強化税制とは、青色申告書を提出する中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた一定の中小企業者などが平成29年4月1日から令和3年3月31日までの期間内に、新品の「特定経営力向上設備等」を取得又は製作若しくは建設して、国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、特別償却又は税額控除の選択適用ができるものです。
(注)所有権移転外リース取引により取得した特定経営力向上設備等については、特別償却は適用できませんが、税額控除の規定は適用が可能とされます。
(注)指定事業は、製造業・建設業から飲食店業、医療・福祉業まで幅広く含まれますが、料亭、バー、キャバレー、電気業、娯楽業などが除かれていますのでご注意ください。
これまで、対象設備である「特定経営力向上設備等」としては、生産性向上設備(A類型)、収益力強化設備(B類型)の2類型となっていましたが、今回新たにデジタル化設備(C類型)が加えられました。
2 効果
即時償却 又は 設備投資額の7%(資本金の額が 3,000 万円以下の法人などは 10%)の税額控除
3 適用対象資産
「特定経営力向上設備等」は一定の新品の生産等設備を構成する「機械及び装置」、「工具、器具及び備品」、「建物附属設備」並びに「ソフトウェア」で「一定の規模以上のもの」とされます。(なお、貸付けの用に供する資産は、特定経営力向上設備等には該当しません。)
「一定の規模以上のもの」とは、それぞれ次のものとされます。
イ 機械及び装置:1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
ロ 工具、器具及び備品:1台又は1基の取得価額が30万円以上のもの
ハ 建物附属設備:一の取得価額が60万円以上のもの
ニ ソフトウェア:一の取得価額が70万円以上のもの(複写して販売するための原本、開発研究用のもの又はサーバー用のオペレーティングシステムのうち一定のものなどは除かれています。)
C類型の内容
デジタル化設備(C類型)とは、事業プロセスの①遠隔操作、②可視化又は③自動制御化のいずれかを可能にする設備として、経済産業大臣の確認を受けた投資計画に記載された機械及び装置、工具、器具及び備品、建物附属設備並びにソフトウェアとされます。
具体的には以下ようなものとされます。
① 遠隔操作
- 1)デジタル技術を用いて、遠隔操作をすること
- 2)以下のいずれかを目的とすること
- A)事業を非対面で行うことができるようにすること
B)事業に従事する者が、通常行っている業務を、通常出勤している場所以外の場所で行うことができるようにすること
② 可視化
- 1)データの集約・分析を、デジタル技術を用いて行うこと
- 2)1)のデータが、現在行っている事業や事業プロセスに関係するものであること
- 3)1)により事業プロセスに関する最新の状況を把握し経営資源等の最適化※を行うことができるようにすること
③ 自動制御化
- 1)デジタル技術を用いて、状況に応じて自動的に指令を行うことができるようにすること
- 2)1)の指令が、現在行っている事業プロセスに関する経営資源等を最適化するためのものであること
※「経営資源等の最適化」とは、「設備、技術、個人の有する知識及び技能等を含む事業活動に活用される資源等の最適な配分等」とされます。
C類型の手続き
C類型を取得する経営力向上計画を申請するには、主務大臣(担当省庁)への計画申請の際、所轄の経済産業局によるデジタル化設備に関する「確認書」の添付が必要になります。以下にへ、所轄の経済産業局確認書を申請する際の提出資料を列挙します。申請書などは中小企業庁のHPにひな形がありますのでご確認ください。
【提出資料】
・申請書
・登記簿謄本の写し(個人の場合、税務申告書等の事業実施を確認できる書類)
・対象となる新規設備投資につき、既存設備の現況と設備投資後の状況を確認できる資料
例えば、導入しようとする設備が、建物附属設備、機械・装置、器具・備品の場合においては、当該設備の導入前後で事業プロセスがどのように変化するかが分かる資料。ソフトウェアの場合は当該ソフトウェアがシステム全体にどう組み込まれる予であり、システム導入前と導入後の変化を確認できる図表等。
・投資計画の分かる資料(本申請書の根拠となる資料)
例えば、代表者又はそれに代わる者の押印がなされた社内で決裁された、当該申請書に係る投資計画又はそれに代わるもの(稟議書、取締役会議事録等)、導入する設備の見積書。
・認定経営革新等支援機関による事前確認書
まとめ
C類型の手続きは事前に所轄の経済産業局の確認を取る点でB類型(収益力強化設備)に似ています。また経済産業局の確認に先立って認定経営革新等支援機関の確認が必要な点も似ているといえるでしょう(B類型は公認会計士・税理士の確認)。B類型はA類型に比べてひと手間かかる制度で時間もかかります。C類型も同様と考えていいでしょう。所轄の経済産業局にも提出する資料の準備や当局とのすり合わせも必要かと思いますので、制度の適用にあたっては計画を立てて時間的な余裕をもって進めたいと思います。
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