医療法人にかかる税金の概要

2020年11月11日

こんにちは。昨日は戸塚でも急なスコールがあり驚きました。皆様の地域はいかがでしたか。横浜戸塚のあおぞら会計事務所の税理士Kです。

今日は医療法人にかかる税金の概要についてまとめてみました。

法人税

医療法人は「普通法人」とされ全所得に課税されることとなります。ただし、社会医療法人は「公益法人等」に該当し、収益事業についてのみ課税対象となります。

また、医療法人は同族会社に該当しないので、同族会社等の行為計算否認の規定、特定同族会社の特別税率(留保金課税)、みなし役員・使用人兼務役員に係る規定、について適用がありません。

さらに、持分の定めのない医療法人については、法人税法上の資本金の額または出資金の額がありませんので、交際費等の損金不算入、寄附金、貸倒引当金などの計算で一定の計算等が必要となるので注意してください。

地方法人税

法人税の税額に以下の税率を乗じた金額が課税されます。

令和元年10月1日に開始した課税事業年度4.4%
令和元年10月1日以後に開始する課税事業年度10.3%

法人事業税

協同組合と同様の「特別法人」に該当し、株式会社とは税率等が異なります。また、社会保険診療報酬等は事業税の所得の算定において除外されます。

法人住民税

社会医療法人を除く医療法人は「普通法人」として取り扱われます。住民税均等割りは、資本金の額又は出資金の額がない法人として最低額が課税されます。

消費税

通常の株式会社と同様に、消費税の納税義務があるものとして取り扱われます。

ただし、基準期間(前々事業年度)の課税売上高(消費税が課税される売上高)が1,000万円以下の場合は消費税の納税義務が免除されます。消費税が課税される売上高は自由診療報酬などが該当し、社会保険診療報酬は含まれません。したがって、美容整形やインプラントなど自由診療の割合の高いクリニックは納税義務が発生する可能性はありますが、社会保険診療をメインで行っている医療法人であれば消費税の納税義務が免除される可能性が高いといえます。

また、持ち分の定めのない医療法人を新設した場合は、基準期間がありませんので、設立後2期間は納税義務がありません。

なお、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、前事業年度開始の日以後6か月の期間(特定期間)の課税売上高と給与等の支払額のいずれもが1,000万円を超える場合には、課税事業者となるという規定がありますので注意が必要です。

印紙税

医療法人の作成する受取書(領収書)は、営業に関しないものとして非課税になります。

したがって、自費治療費や医薬部外品の販売などで50,000円以上の金額の領収書にも印紙を貼る必要はありません。